フィンランド生活176日目〜ドイツは学歴社会〜

フィンランドの社会・教育システムはドイツに似てる
yuki 2023.02.13
誰でも

朝起きて、キッチンにいくと、昨日夕ご飯を食べたあとの2人の皿が普通に食卓に放置してあり、萎える。食洗機にいれてボタンを押すだけなのに…?こういった細かいことにストレスを受ける。朝食はトーストにバターを塗ってスモークサーモンをのっける。サーモンを中国人にあげるも、「スモークサーモンかぁ」と反応。え、スモークサーモンうまくね?
私はちょっとゆっくりしたかったので、ルームメイト二人に先にいってていいよ、と伝える。その後、9時ぴったりに学校につく。私より先にいたのは5人だけ。まじでこいつらどうなってるねん。

さて、午前中は定性調査の授業。うーん、難しい。成員カテゴリー化分析(Membership categorization analysis)を応用しながら、ドナルド・トランプのスピーチなどを分析しました。成員カテゴリー化分析とは、社会の構成員が社会的交流の際に対して、カテゴリーというものをどうやって捉えてるか分析するもの。ざっくりいうと、人間は、家族を親と子というカテゴリーで見ており、そのカテゴリーがどのように表現されるか、的なことだ。

午後の授業は、私が好きな「超国家社会政治」。アメリカ人の教授のやつ。今回は、教授が選んだ超国家機関(WHO,IMF,世界銀行,アフリカ連合,ゲイツ財団)のうち、好きな機関を選べて調べるという授業。ほぼ授業なし。えー早口でシニカルなジョークを聞きたかったのに。私と中国人はゲイツ財団を選んで、しばらくするとドイツ人ノラちゃんがやってくる。心のなかで「最高の二人が来た…!」と思う。真面目ちゃん二人に囲まれてるし、ノラは戦力3人分くらいあるからな。こいつ優秀なんよ。

私はゲイツ財団の構成について調べた。スライド1枚にまとめなければいけなかったので、ゲイツ財団の役員数・従業員数等をパッとスライドに入れ、説明のときに役員のバックグラウンド等を語るということをした。アプローチが正しいと、教授から褒められて嬉しい。まぁアメリカ人教授って基本褒めるからな。本音と建前よ。

授業後、ドイツ人ノラちゃんと学歴社会に関して語る。ドイツは日本とは違う学歴社会を形成している。日本は東京大学を頂点とした学歴社会を形成しているが、ドイツには、特にどの大学が名門というものはない。彼女の兄はミュンヘン工科大学に通っているが、就職等で有利になったり、人から尊敬されることは、多少ぐらいしかないらしい。(ちなみにタイムズ世界大学ランキングではミュンヘン工科大学は30位で、東京大学は39位)ランキングがつけられても、人気に左右されないというのは序列社会に染まった日本人からは想像するのが難しいが、世界ランキングが勝手につけられても、そんなの有難がるのは序列が好きな国なだけ、といったお国柄なのだろうか。ミシュランが来ても「フランス人に日本料理の真髄が分かるかよ」といったものに少し似てると思えばちょっと理解できる。学問も料理同様、ジャンルが違えば序列なんてない。同系統のジャンルで「現時点」での「一般における」最適解は存在するかもしれないが。

余談はさておき、日本の東京大学と違い、ミュンヘン工科大学にいったところで社会的メリットはそこまで無い。んじゃどこが学歴社会なの?というと、「大学卒業」と「大学院卒業」にヒエラルキーがあるのである。日本だったら東京大学教養学部卒業は、Fランク大学大学院修士課程卒業より就活でも有利だし、社会的にステータスでしょう。一方で、ドイツはミュンヘン工科大学学部卒よりFランク大学大学院修士課程卒業のほうが有利なのである!(そもそも大学間の序列という発想がないためにFランク大という発想も薄い)。社会である程度の地位に就くためには「修士卒」はかなり望ましいのである。さらにさらに、トップを目指すならば博士課程を修了することが好ましいとされている。たとえば21世紀初頭のドイツ、いやヨーロッパで最も影響力をもった人間アンゲラ・メルケル元首相は物理学者の博士号を持っている。しかし、トップになるためには学歴が必須というわけでもない。単純に望ましい、だけである。さらにどの分野でも望まれるわけではなく、理系の分野で顕著で、ドイツの製造業大手のトップの約3割は博士課程をもっているのだとか。ドイツのPhDホルダーの数(文系を含む)は1〜2%ほどらしいので、いかに博士課程が理系の場で評価されているかが分かる。

まとめると日本の学歴社会は「学校歴社会」であるのに対して、ドイツの学歴社会は「学位歴社会」なのである。他にも、ドイツと日本の違いはある。ドイツは学んだ分野と関連する分野に就職することである。日本だと学んだ経験と全く違う分野に就職することがあるが、ドイツではない。財務省が東京大学法学部で占められてるのはドイツ人にとっては不思議なことなのである。

一方で共通点としては「大学時の成績」はドイツでもそこまで関係ないらしい。新卒のときはちょこっと関係あるかもしれないけども、成績がいいから、望んだ企業に入れる、というわけでもないとのこと。

学歴社会に関して、ドイツとフィンランドは近い。フィンランドも学校間に優劣がない。ヘルシンキ大学がホームページで「世界ランキングトップの大学です!」と宣伝しようが、フィンランド人は特に何も思っていない。大事なのは、どこの大学を卒業したかではなく、どの分野のどの学位を修了したかである。一方でドイツと違い、博士課程が社会的に尊敬されていたり就職で有利になることもあまりない。また上にいくために修士課程がほぼ必須というわけでもない。転職や上を目指すためには修士が必要ないのですが、「資格」が必要なのはドイツに似てるかもしれません。

フィンランドブログなのにドイツのことを語りすぎました。久しぶりに夕食にエビを食べた。半額で400円くらいなので即買い。中国人に色々と助けられてるので、エビをあげるよ、と伝えたが、一匹しか食べなかった。いつも助けられてるし、バターやチョコくれたのでもっと食べてもいいのに。

夜、明日のフィンランドに戻るチケットを買う。ヘルシンキ→タンペレの電車チケットを買う際に、学割を使うのを忘れてしまった。俺の6ユーロを返してくれ…ショックすぎる…。と思いながら寝る。

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