フィンランド生活153日目〜フィンランドの教育事情:大学受験編〜

あとフィンランドの中学校事情。
yuki 2023.01.18
誰でも

今日は朝から5日後に提出の課題を行う。ほとんど出来ていたと思ったが、なんか出来に納得出来なかったので、全部書き直した。すると7時間ほどかかりました。集中してやったので、ほとんどメッセージアプリ等を確認せずに時間がすぎる。

さて夕食では、妻が勤めている中学校の話題に。私達はフィンランド第二の都市、タンペレに住んでいる。つまり大都市で、多様な人材が溢れている。今年から勤めている中学校は外国をルーツにもつ生徒が多い!生徒の3分の1がフィンランドっぽい名前ではないらしい。どこが多いの?と聞くと、ロシア系や中東系が多いらしい。生徒の名前が読めないから大変らしい笑。そこで「外国の名前あるある」で二人で爆笑しながら会話。

・あるある①
日本人が英語の名前を読めないように、ヨーロッパ言語者にとって、いわゆる非ヨーロッパ的な名前は読みにくいものがある。トルコ人のErdoğanとか大統領じゃなかったら絶対読めないんだが。

・あるある②
名前長過ぎ問題。特に西アジア&中東!フィンランド人もミドルネームを持っていたり(妻もあります)、西アジア&中東は(読み慣れないから?)もっと長い!たとえば日本でおそらく一番有名なインド人のガンジーの名前は「モーハンダース・カラムチャンド・ガンディー」だしね。まぁ本名を覚える必要は日常生活では必要ないんだけど、教師にとっては大事な部分でもあるよね。

・あるある③
「ムハンマド」さんいすぎ問題。逆に言えば、中東系の子の名前を忘れたら「ムハンマドくん」と言えば当たる(笑)(エジプトでは4人に1人がムハンマドさんだとか。)。ムハンマドはそれほど偉大なんですね。これはアングロサクソンにも言えたことかな、日本人が知ってる英語の白人名の70%くらいは聖書由来の名前だと思う。(ジョン・ポール・ピーター・トマス/トム・ジョージ・ダニエルetc)

そんなあるあるを言って楽しむ。妻が今年勤務している学校は3分の1が外国をルーツにもつ生徒だが、去年の学校では1割以下だったとのこと。やはり地域によりますね。日本だって、「新成人は4109人で、うち外国人が1868人と約45%」な地域(新宿区)もありますからね。タンペレではそんな多国籍の地域もあるけど、妻の実家の北カレリアに行くと、金髪しかいない(白人でも金髪は珍しいので、純度高めのフィンランド人しかいない)。

さらに話題は共通テストが終わったらしいよ。ということになり、日本の大学受験の仕組みを説明したあと、フィンランドの受験を説明してくれる。
まず高校卒業試験があり、コレに合格するのが大事。これは日本の共通テストのように普通の試験である。この試験で高得点を取ると、大学受験をしなくてもいい場合があるとのこと。(大学入学共通テスト利用みたいなもん?)
その後、大学入学試験。フィンランドの大学受験は、受ける学科に直結する課題を行うことである。日本のように試験一発タイプと小論文を期日まで提出する形である。たとえば数学科だったら試験会場にて数学の試験を行ったり、ドイツ語専攻ならドイツ語の試験を行うのである。小論文を期日まで提出するタイプでは法学部などが該当するらしく、最近気になった裁判に関する論文を書いて提出するらしい。圧巻なのが教育学部。教育に関する記事に対する論文を書き、それに合格したものがグループディスカッションへと進む。このグループディスカッションに選べれたものが個人面接へとたどり着き、それで合格となる。だいたいのプロセスは2ヶ月。就活かよ!共通試験+面接はアメリカのやり方に似てますね。

入学時点から専門性(の資質)を評価して選考するか、それとも高校で学んだ幅広い知識・教養を評価するかどっちが良いかは人の好みによるでしょう。フィンランドの教育学部に関して、個人的な意見ではあるが、学部入学時点からそこまで専門性の高い試験を課さなくても良いと思う。修士号を修了しないと教師にはなれないので、院試の段階で専門性でふるい落とせばよくないか、と。

受験に関してのフィンランドと日本の大きな違いが「偏差値ランキング」とか「いい大学に行く」というのがフィンランドでは無い。まったくない。大学に優劣が無い環境で育った妻的には「大学間の序列」は完璧には理解できないらしい。ただフィンランドにも「医学部に何度も受ける人はいる」し、「医学部は賢いって感じ」なので、大学というより学部によって尊敬の度合いが変わるのはあるらしい。(というかフィンランドという国が大学だけでなくあらゆる面で日本より「序列」というものが無い気がする…)

どっちが良いんだろうね。フィンランドやドイツのように大学の間に序列が無いのと、日・米・英・仏・中に見られるように大学の序列があるタイプ。賢い人材を東大など一つに集めて、一流の講師陣で育てて、国家予算をそこに投入するのは、正しい「選択と集中」で効率的に見える。一方で、「選択と集中」とは学問で最も危険な思想の一つのように見える。結局の所、将来に重大な成果をもたらす研究や人材なんて今の一流を持ってしても予測不可能なのだ。たとえば過去20年間のノーベル賞受賞者の出身大学は、東大がたしかに4人で最も排出しているが、京都大・名古屋大が3人、徳島大・山梨大・埼玉大・長崎大・北海道大・神戸大1人と多様なところから出ている。そう考えると序列をつけずに、全体のレベルをあげていくというフィンランドの戦略は正しいように思える。ドイツはそれで大成功しているように見えますしね。(ドイツにはNature Indexが世界3位のマックス・プランク研究所や同6位ドイツ研究センターヘルムホルツ協会など超一流の研究機関があるんですけどね)

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